庵治石×人と技

世界から最高品質と称される「庵治石」とは

香川県の北東部に位置する庵治地方にだけ産する花崗岩で、「花崗岩のダイヤモンド」と呼ばれています。キメの細かさ、光沢・重量感と三位一体となった風格は、その昔より最高級石材と讃えられています。
また構成鉱物のひとつひとつの結晶が極めて小さく結合が緻密なため、他の地域の花崗岩と比較しても硬いことが特徴の一つです。水晶と同じ7度という硬度は、ノミなどの道具を当てた時も石が崩れることなく、逆に、研磨したように鮮やかな石本来の色合いになります。また、細やかな細工も可能です。水を含みにくいので、風化・変質にも強く、幾世代にもわたり掘られたものが崩れたり変色しにくく、艶もなくなりません。山から採掘した原石にはキズがあります。それは加工の際にできたキズではなく、石が石になる過程の中でできたもの。実は庵治石はキズが多く、色合わせ・模様合わせが困難なのです。そのため原石から製品になるのは、ほんの数%。このように厳選された庵治石は代々受け継がれる墓石として最も適していると言えます。

庵治石の歴史

遠い昔、和泉の国や河内の国から石切大工と呼ばれる石工たちがやって来て、採掘を始めたと言われている庵治石。
数多い花崗岩の中で庵治石が最も重宝がられるのは、自然の郷愁を含んだ味があり、風雪に耐える堅く美しい石質、石目が細くて細工しやすいという点にあります。そのため、彫刻用、建設用として幅広く活用され、またその特性から墓石、灯籠として他に類をみない最高級品として使用されています。
今日の石材業界は設備も合理化近代化され、よき伝統と技術にささえられ、讃岐特産の石材加工産地として世界的にも追従を許さなく、大きく発展しています。

庵治石むかし物語

庵治石の歴史は非常に古くて、京都男山の石清水八幡宮の「建武回録記」という古文書の中に次のような記載がある。
1339年(暦応2年)この八幡宮の宝殿、弊殿、拝殿の再建にあたり、石種30種余、箇数5000箇余りの切石が使用されたが、これは前例にならって、検校職(お宮の事務を総管する役)をつとめる田中殿の所領地讃岐の国から送り込まれた…
一方、田中家文書によると、平安末期から南北朝、室町時代にかけて中讃岐草木の庄、牟礼の庄(現在の大字牟礼大町)一帯が石清水八幡宮の荘園であったとされておるから、この再建のための石材に「庵治石」が使用されたと思うんじゃ。つまり、庵治石は平安時代後期から採石使用され、遠く京都までも送り出されていたわけで、およそ1000年の歴史の中で注目を集めていたと言えるのう。
また、当地域での庵治石製品加工の発祥は今をさかのぼること650年、石清水八幡宮の再建時と思われるが、工法作品等斬進的なうつろいは1814年屋島東照宮造営の頃と言われておる。それまでも牟礼、庵治に石工はおったが手不足のため、和泉の国より石工を呼びよせたそうじゃ。任務を終えた彼等石工達は現在の久通り附近に住みつき、この地で自らの業を立て始めたが、この頃からすでに石材産地としての胎動があったんやなぁ。

続きは下記のホームページで御覧ください。

牟礼町庵治町あれこれ

庵治石はなぜいい石なのか

ひと言で石と言っても、いろいろあります。硬い石もあれば、やわらかい石もあります。土に近い石もあれば、石らしい石もあります。庵治石は、数多くの石屋たちが採掘したり加工するなかで、その素晴らしさに気づいた石。庵治石がいい石だと広まったのは、石そのものの良さはもちろん、石工さんの目利きにかなった石だったと思われます。
庵治石の原石を買い、加工する職人さんたちが、原石を切ったり磨いたり、墓石に名前を彫ったりする中で、いい石だと気づいた石です。庵治石は石としてねばりがあります。ねばりといっても納豆のようなねばりではありません。ねばりがあるから、石を細かく割れます。そのため、石がごろっとこぼれず、細かい細工ができます。例えば小さな石の地蔵様に繊細な目や眉が彫れるのも庵治石ならではなのです。また石目が細かく詰まっているので、生地をたたいてもざらざらしません。ひとつ一つの結晶が小さく、緻密であることから他の花崗岩とは比較にならないほど細かな細工を施すことができます。
庵治石がいいと言われる理由はいろいろありますが、私たち三好石材の職人たちが昔から言われていたことがあります。「この石がいくらだと思っているんだ」。これはどれだけ貴重な石を扱っているのかということを常に自覚するよう教えてくれていたのだと思います。高価であり、貴重な庵治石。また限りある資源でもある石。そういうことを一つひとつ心して扱う。庵治石の産地の職人に技術とともに伝えられてきた念(おも)いです。

世界でも類を見ない潤いのある「斑(ふ)」

小さな黒雲母の数が多く、磨けば磨くほど艶を増し、青黒い細やかな紺がすりのようになります。その上、最大の特徴「斑(ふ)が浮く」という現象があります。これは指先で押さえて潤いを与えたようなまだら模様があることで、石の表面が二重のかすり模様を見せてくれます。庵治石の正式名称は「黒雲母細粒花崗閃緑岩(くろうんもさいりゅうかこうせんりょくがん)」です。
主な成分は石英と長石、そこに少しの黒雲母が含まれています。庵治石に「フ(斑)」が現れるのはそのせいです。庵治石は細目と中目に分類されます。きめ細かな模様の細目(こまめ)になればなるほど貴重だと言われています。

三好石材が考える庵治石の良さ

石工たちが言います。「硬い石は庵治石のほかにもある。しかしハンマーを叩いた時、これぐらい届けたいという想いや力を受け止めてくれる。そんな石は庵治石しかない。
石が石工の技を受け止めてくれる」。

庵治石の産地で庵治石と向き合ってきた職人は、誰よりも石のことを知っています。当社は115年創業。今のように機械などない昔は、山の上から何トンもある石を、転がったり、自然に落石した石を採石していたのだと思います。昔は船や馬車で石を運んでいました。 

私たち三好石材は、明治33年の創業以来、丁場の中でも、最高品質の庵治石が採れるといわれている「大丁場」を預かってきました。石屋としてずっと続けてこられたのは、石をいかす方法を探しながら変化してきたからだと思います。これからも庵治石をいかしていくために、私たちは変わり続けます。

大丁場とは

庵治石の産地は、香川県の庵治町と牟礼町にまたがる霊峰・五剣山。
その北西に銘石・庵治石が眠る4つの丁場群があります。
中でも、藩政時代には高松藩の石を切り出していた御用丁場で、
最高品質の庵治石が採れるといわれているのが大丁場です。

「庵治大丁場石の会」は、この大丁場を何代にも渡って預かってきた
山石の匠の組織です。山への畏怖の念と感謝、世界の銘石を扱う誇りをもって、
日々、山と向き合っています。

大丁場

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